大判例

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広島高等裁判所松江支部 昭和27年(う)6号 判決

検察官作成の被告人太田政雄の供述調書(第一、二回)の証拠能力なしとの主張については原審第三回公判調書中証人桜田忠夫の供述記載によれば右調書は検察事務官たる桜田忠夫が被告人を取調べ調書を作成しその調書を森井検事に提出し、その調書に基き同趣旨のことを同検事より被告人に聴いて確めた上同検事の署名を受けたものであることを窺知することができる。そうだとすれば右桜田忠夫の取調べは森井検事の取調べの準備的なものであつてその後に森井検事の取調べがあり且同検事の署名がある以上右調書を目して検察官作成の調書でないと言うことはできない。

尚前示桜田忠夫の供述記載及び右検察官作成の被告人太田政雄の供述調書の形式内容を検討総合すれば同供述調書が弁護人所論の通り刑事訴訟法第三百二十二条第一項による証拠能力なき書面と為すを得ないばかりでなく桜田忠夫の誘導によるものであり任意性のない書面であるとの弁護人の所論も到底採用するを得ない。尚検察事務官(弁護人は検察官と記載するも検察事務官の誤記と認む)作成に係る太田吉蔵の供述調書(第一、二回)について証拠能力なしとの主張については同調書の形式内容等を検討するも同調書が刑事訴訟法第三百二十二条第一項による証拠能力なき書面と為すを得ないのみならず誘導によるものであつて任意性なく従て証拠能力なしとの主張も理由がないことも明瞭である。されば以上の各調書を採つて本件犯罪事実認定の資料とした原判決には何等違法のかどはなく論旨は採用し難い。

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